積雪期登山・・・著者の秘密? |
昨日アップした積雪季登山、読み進むと生半可なガイドブックじゃないことが分かった。著者の勝田甫(はじむ)さんは、何と東京市立一中を卒業したばかりの昭和10年4月29日、富士山頂からの初滑降に成功された方でした。そんなわけで、実体験に基づいたリアルな挿絵になるわけですね。 それにしても、理論的な挿絵だよなぁ~!山のガイドブックに出現したベクトル!! そして、降雪と、それに加わる環境がもたらす雪質の分析、言葉で表現したら、大変なことになるが、この小さな図でいとも簡単に教えてくれる。 5章では、危難と救護法に50p近くをさいている。 それだけではなく、遭難に遭った際の実際を詳しく説き、絶命した場合の後始末・・・検死・荼毘、そして遭難の時の出費は、生死に拘らず一切遭難者の家族で持つという、謝礼・費用という項目まである。 救援を依頼されたときには・・・を転載する。 山でのSOSは絶対命令である。そこに幾人かの人間の命が賭けられていることを思えば、当然自分の心の中からの命令として、いかなる差支えがあろうとも、みづからすべてを放棄して進んでそれに力を貸さなくてはならない。これは一般登山者にも山岳部員にも山案内人にも、およそ山へ入る者のすべてにとって共通した大切な道徳精神であって、しかも自発的に快く協力を申し出るようにあるべきものなのである。 勝田甫さんは、医者でもあった。自宅の医院を継がず、基礎医学の道に入り、伝研、ガン研で数々の業績を残した組織培養の創始者だったそうである。 まさにマルチタレントとは、彼のことを言うのでしょう。 そして巻頭には、こうある。 「この本を読まばこの本を捨てよ」‥つまりこの本を読んでもその一字一句に拘泥することなく、さらにその上に立って「自分の山登り」を築いてもらひたいのである。 |
by crazylovers
| 2011-08-31 07:15
| books
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Comments(8)
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おじ
at 2011-08-31 20:46
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門外漢の私が見ても理解できそうな素晴らしい挿絵群。
いまどきの本は工学系の専門書でも手抜きが多いと言うかハウツー的すぎて、独学に使えないものがほとんどです。 その点、この本は素晴らしい。これなら私も昔の丁寧な内容の本に出合えた喜びで山にいかずとも買ってしまいます。
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beachcomberjp at 2011-08-31 20:53
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はっと
at 2011-08-31 22:35
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お医者さんは、(とくに解剖学や外科医)皮膚の下にある筋肉や動脈、骨をなどをきちんとイメージして描いているからでしょうか、線を装飾しない正確でかっちりした画風になりますね。正直なタッチできもちのよい挿絵です。
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beachcomberjp at 2011-08-31 23:29
はっとさん、
うまい挿絵ですよね。この挿絵で、脈拍の正しい測り方を知りました。漠然と手首あたりに指を当てても分かりませんよね。 昔々・・・美術解剖学なる授業をとった記憶はあるのですが、ほとんど覚えていません。あぁ・・・なさけない!
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はっと
at 2011-09-01 12:06
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芸大でも数少ないのではないでしょうか美術解剖学の講義を行っているところは。私も受けてみたいです。ダヴィンチ、鴎外などが浮かんできますが起源はミイラつくりが盛んだったエジプトとかなんでしょうかね。
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beachcomberjp at 2011-09-01 20:19
はっとさん、
今はそうなんですか。美大に美術解剖学は当たり前・・・って思っていたのですが。(笑)
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春
at 2011-09-03 08:53
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よいご本を見つけられましたね。山に行かないので専門的なことはわかりませんが、すごく役に立ったことでしょう。
美術解剖学、とりましたよ。他大学に解剖の見学に行った帰りには、電車に座っている人の顔の筋肉が、皮膚を通して見えて、首から下には血管などが房のようにぶら下がっているように見えて、困りましたが、すぐに人を見てもそうは見えなくなりました。
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beachcomberjp at 2011-09-03 09:13
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